ビルの運営と自社ブランドと新型OEMと工場経営!?

今週は、「日本の縫製工場と新しいOEM、小売りまでの流れ」をテーマに、株式会社サンカーベ渡辺展行さんにお越しいただきました。

渡辺さんはご実家の裁断・縫製工場を継ぐ形で株式会社サンカーベに入社され、セレクトショップやブランドのカットソーのOEM事業を担当するようになりました。現在は台東区鳥越に新しい拠点を構え、店舗、サンプル縫製、自社工場の運用と新しい形式でのOEM事業、自社ブランドであるyohakuの運営などをされています。

入社当時は右も左も分からず、とにかく現場に足を運んだそうです。ここで現場の流れをいろいろと学んだとのことでした。
その後、リーマンショックやファストファッションの台頭をきっかけに、品質は向上する傾向にありながら、値段は据え置きでないと納品ができないなど、市場に大きく変化がありOEM事業は悪循環に陥りました。渡辺さんはこのままのOEMの企業構造では先が見えないと感じ、自分で売る事を考え、当時の事務所で簡易的に販売を始めました。
これが自社ブランド“yohaku”を立ち上げた現在の企業構造の礎となり、現在の業態に至ったそうです。

この講義では初めに日本の縫製工場の現状について触れ、日本製として製造することの厳しさに面しているなかでどう切り開いていくか、渡辺さんの築いた新しい事業構造について教えていただきました。
閑散期に残反や残糸を利用して製造する「再生シリーズ」、最小限のデザインと生産効率を考えてyohakuが提案する通年の普段着「定番シリーズ」、オリジナル素材で作る新OEM、人と人が繋がり新しいカルチャーが生まれる場所、本社鳥越ビルのお話など。。。
ここではクイズ形式も織り交ぜられ、終始和気あいあいとした雰囲気でした。

後半は実際に鳥越ビルにお邪魔して生地やサンプル、製品を見学しました。

久留米絣の糸(藍染)や大島紬(泥染)などの日本独自の手工芸を、高速機を使い丸編みにした生地を見せていただきました。
高速機で丸編みにすることでコスト削減しながら、手工芸を取り入れ独自の日本製を生み出した背景には、渡辺さんと工場の職人さんとの直接のやりとりがありました。実現が難しいと思っていた課題でも、「直接会えば人と人」。現場に足を運ぶことを大切にしている渡辺さんならではの言葉であり、これが渡辺さんのこだわり抜いたアイディアを実現させる鍵であり信念でした。
また、工場の技術を全面的に信頼し、細かな縫製方法などは工場のやりやすいようにやってもらうことで生産効率も上がるとのこと。これは“信頼関係”なくして成り立つものではないと感じました。
その他にも様々な残糸に合わせて一工夫加えてつくり出された丸編み生地や倉庫に並ぶ「再生シリーズ」の商品を実際に手に取って見せていただきました。

とにかく渡辺さんは「ものづくりに大事なのは、なにより工場の職人さんとのお付き合い」「現場に行くことはすごく大事」と、ご自身の経験の中でも現在の事業運営においても、現場の人との付き合い、困ったときに助けてくれる現場の大切さをとても感じると語られていました。

ものづくりにおいて、他者との関わり合いで生まれるものは、ひとりでは創造できないものに繋がる。また、その信頼は生産性をも高める。
そこに日本のオリジナリティが加わった製品には、唯一無二の魅力が宿っているのではないだろうか。

渡辺さん、この度はお忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

安岡