ポリエステル繊維の可能性は無限大

12月23日、2018年最後となる講義が開かれました。第5講となる今回のテーマは合成繊維。

合成繊維産地である福井県からケイテー・テクシーノ株式会社の荒井さんと、フリーランスのテキスタイルプランナー、松本さんにお越しいただきポリエステルについて講義をしていただきました。

糸を作る段階からの糸加工、生地になってからの後加工で、風合いや機能性の異なる生地を生み出すことができる合成繊維の魅力を知ることができた講義になりました。

石川・富山・福井の三県からなる北陸産地は、世界にほこる日本最大の合成繊維産地です。日本における繊維産業(テキスタイル)のシェアの約8割が合成繊維で、そのうち5割が北陸産地で作れられているそうです。

まずはポリエステル繊維の作り方についてお話していただきました。

ポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコールを掛け合わせ、ポリエチレンテレフタラートを細い孔から出し、空気と反応させて糸状にしたものをいいます。

孔の形は丸、三角、T字、Y字など、様々な種類があり、孔の形に応じて糸の断面が変わります。糸の断面の形により、生地の機能性が変わるのだとか。作りたい製品によって糸の断面の形状を選ぶことができるそうです!

撚りや染色を施していないポリエステル糸を生糸というそうです。

ポリエステルの生糸は、何本もの細い繊維状の糸が束になって一本の糸になっていました。
この本数は、液を通す孔の数によって決まり、孔の数を変えることで糸の太さや強度が変わるそうです。一本一本の糸はとても細く、この細い糸になる液を通す孔がどれだけ小さいのか気になります!

孔の形が糸の機能性を左右することもあるため、新たに糸の開発をする場合、液を通す孔も新しく作ることもあるのだとか。

ポリエステルの太さは、デニールかデシテックスで表記します。1デニールは、9000mの長さで1gの重さの糸を指し、1デシテックスは10000mの長さで1gの重さの糸を指します。糸を供給するメーカーによって、太さの表記は異なるそうです。

普段からポリエステル糸を扱っている荒井さんは、デシテックス表記の糸を見ただけでだいたい何デニールの糸なのか、素早く換算できるそうです!

福井県勝山市にあるケイテー・テクシーノさんでは、主にポリエステルの撚糸と織布を行なっている会社です。

工場には高速織機であるウォータージェットとエアジェットの織機を150台常設し、1ヶ月に約50万mもの白生地を織っているそうです。ウォータージェット織機はヨコ糸を水の力で飛ばし、エアジェット織機は空気の力でヨコ糸を飛ばします。

エアジェット織機は、多くて1分間に500回ヨコ糸を飛ばすことができるそうです!

実際に生地を織っている動画を見ましたが、目にも留まらぬ速さでヨコ糸が動いていました!
どこにヨコ糸があるのか全くわからないほど、あっという間に生地がどんどん織られていく光景に驚きました。

他にも糸の開発にも力を入れ、「仮撚り」という、糸加工を行なっているそうです。仮撚りは髪にかけるパーマのような原理を用いて、一度撚った糸に熱を加えて形状記憶させ、パーマのようにくるくるとした伸縮性のある糸を作ることができるといいます。

実際に糸を手で伸ばして手からはなしてみると、糸が縮れるようにくるっとしました!

講義では、風合いや機能性の異なる生地をたくさん見せていただきました。
全てポリエステルですが、まるで皮のような手触りの生地や、水を徹底的に弾く撥水性のある生地まで、本当に様々な生地がありました。

糸加工や高密度での織布、後加工により、より機能性がある生地開発をしているため、スポーツ衣料やアウトドア衣料の生地を織ることが多いといいます。アウトドア衣料の中でも、特に機能性を求められる登山用衣料の生地を作っているそうです。

「ポリエステル」と聞くと、低コストを目的とした生地をイメージしていましたが、今回の講座で糸になる前、糸加工、染色、後加工のそれぞれの段階で機能性をつけることができる、とても魅力的な素材であることがわかりました!

他の合成繊維や天然繊維と混ぜて使われる理由が納得できました。

荒井さん、松本さん、ありがとうございました!

森口