ニットの応用

ニットの講義、第二週でも引き続き嶋田隆弘さんよりお話を伺いました。
前回はニットの仕組みなど根本的な部分を学び、今回はその先の生産について学んでいきます。
前回の講義にて、手編みから家庭編み機、手横機、そして現在ではPC制御の自動編み機が主流になっていることを学びました。手横機は、現在では複雑なインターシャ編みといった特殊なものを扱っている一部地域でのみ僅かしか動いていないそうです。
そういったニットの生産において、まずはじめに編み機の調子を整える重要なポイントである、湿度と気温のお話。使用される糸によってもそれぞれに含まれる水分量とのバランスを調整する必要があるそうです。

PC制御の自動編み機では、生産不良が出ないように湿度と気温も一定になるよう自動で管理されるそうですが、糸が特殊であったりする場合など、人が管理しながらでしか編めないものは、やはり自動編み機より気配りが可能な手横機が、現在でも活躍することも知りました。

そして、受講生が今後生産する立場になることを想定し、ニット生産において必要なポイントを項目に沿ってお話しくださいました。

編み柄の決定
編み柄については、基本的な6種類ほどの編み柄から組み合わせて新しい柄を生みだしていきます。天竺やリブを理解しておく必要はあるものの、数えきれないほど存在しているということですね。

混率について
製品には品質表示タグが必要となります。そこには素材の混率が表記されています。様々な要素から生産者はその製品にあった素材選びをします。
暖かい機能を持たせたいのであれば、単純にウール100%で、と考えるかもしれない。ですが、ウールは毎年価格が高騰しています。そういった場合、化学繊維を代用させ価格を押さえることもできます。
その他にも素材を混合させることによって、風合いに変化をもたらすなど特殊加工が出来る、といった様々な理由から製品において素材選びは重要であることを学びました。

編み方の選択
前回より学んできた編み機や、ホールガーメントから製品に合ったものを選択し、それに合わせ最終の縫製方法の種類も検討します。

洗い
ニットは縮む特性を持つため、それを見越して洗いにかけた後に指定の寸法になるようにするそうです。

糸について
混紡糸を使うか引き揃え糸を使うかといった話から糸屋さんのお話まで。在庫にありすぐ原料調達可能なブックの中から選ぶ場合や、生成りの糸を指定の色に染めて使用できる生地糸展開の場合など、納期や価格のリスクを比べ、適応する糸を製作していきます。
糸と編み機に関しては日本だけでなく、海外製品についても詳しく教えていただきました。

ニットを製品として生産する大まかな流れを学んだあとは、ニット当て大会ならぬ、生徒が持ち寄ったニットを使って編み柄や糸の混率を嶋田さんに当ててもらうというコーナーに。
そこでさまざまな質問や疑問が生まれ、それぞれ嶋田さんからポイントを教わることができました。

製品をつくる流れの説明では、実際の仕様書とその際のサンプルを見せていただきました。仕様書の作成方法から、サンプル作成の流れ、発注方法。また納品するまでに必要な編み地検査といった法律に基づいた試験が事細かくあることを知りました。

よく起こる問題を教えていただいたことで、生産するにあたっての注意点を知れた気がします。
品質の良いものをつくるためには避けては通れないことなのです。

さらに、”どこで生産するか”もポイントになります。

日本でするか中国でするか、国内外はもちろんのこと、どの工場に依頼するかも製品の仕上がりを左右するといいます。
価格はともあれ、製品の雰囲気も工場ごとに違いがあり、デザイナーの要望に沿う工場選びをしなければなりません。そういった点で、デザイナーと工場との間で活躍するのがOEM商社です。

各地の工場の特性を理解し、その都度デザイナーの要望との相性を見極め、工場とコミュニケーションをとっていくことが生産をスムーズに進める大きな役割になるのです。
OEMの仕事内容に合わせて、日本各地のニット産地の得手不得手や嶋田さんオススメの工場までご紹介していただきました。

最後には、質疑応答。
ニット生産には、パターンが存在しないことや様々な面で特殊な知識が必要であるため、相当詳しくないとデザイナーが工場と直でやり取りすることが難しいことだとわかりました。

小ロットだと価格にそぐわなかったりと、ブランド規模が小さいとなかなかニットに手を出すことは大変なようです。
二週に渡る講義で、ニットの仕組みから生産まで、嶋田さんに丁寧に教えていただき、ニットの奥深さを知れたように思います。

嶋田さん、この度はお忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

安岡