日本の伝統と産業

今回は特別講義『和装産地編』です。

産地の学校では和装の講義は基本的にカリキュラムに予定しておりませんでしたが、
中間アンケートを通して、1期生の受講生の皆さんが「和装」への高い興味があることを知り、今回の特別講義の開催に至りました。

和装の講義をお願いしたのは『銀座もとじ』さん。ご好意で、閉店後の店舗が教室となりました。
二代目にあたる泉二啓太さんに講師をしていただきました。

和装業界の現状から、もとじさんの理念についてお話から。
最も呉服業界が盛り上がっていたのが昭和後半。市場は2兆規模だったそう。それが現在は2600億。
ライフスタイルの変化や、着物の着方の変化、レンタル着物の増加などが原因だそうです。

銀座もとじは創業38年。啓太さんの父、泉二弘明さんが奄美大島から上京した際に形見の大島紬に導かれ、呉服業界に飛び込んだことがスタートでした。
長年業界を支えてきた呉服屋さんが多い中、新参者だった泉二弘明さんは「業界の常識は一般の非常識」を掲げ、他の呉服屋がやらないような商売を目指します。
慣例の多い呉服業界の中で、専門に特化した店づくりを始めます。その取り組みには「織の専門店」「男のきもの専門店」「大島紬専門店」といった店舗づくりから、「雑誌に仕立て上がり価格を表示」「仮縫い」などの消費者の視点にたった工夫まで様々でありました。

また、もとじさん独特の取り組みである『プラチナボーイ』についてもお話していただきました。
古くから良質な糸を吐くことで知られていた雄の蚕。37年かけてその雄の蚕だけが孵化する国産蚕種が開発されました。
銀座もとじさんはこの品種を守る活動もしています。その一つとして、蚕種の開発者、養蚕農家、製糸工場、染め手、織り手の名を証紙に表記して販売することにより、作り手にスポットを当てた顔のみえるものづくり、産地とお客様を直接つなぐ役割もしています。

次に、国内の和装産地や作り手を教えていただきながら、実際の商品も触らせていただきました。
あまり着物に触れる機会の少ない受講生も多く、貴重な機会となりました。
5年かけて養蚕から天然染料による染色、織りまで全てをを山形県の米沢市で1人行う山岸幸一さんの反物をはじめ黄八丈、大島紬など、しなやかさ、軽さ、ハリ感などが少しづつ異なる反物を一つ一つに触れさせていただきました。

最後に、銀座もとじさんの新しい取り組みについて伺いました。それは、呉服屋が直接織り手を雇うということ。
今年から、銀座もとじの店頭には本場大島紬の機置かれ、実際に店頭で大島紬を織っている姿様子を見ることができます。
奄美大島で大島紬の修行をしていた女性をスカウトし、店頭で織り、直接お客様と会話をしながら販売しています。

実際に奄美大島で織り手をしながら感じた現状や問題点。銀座で織ることによって見えたことなどを伺いました。
分業制である奄美大島の賃金問題、そこから来る後継者不足など。またその一方で、沖縄は『ユイマール』の精神により、産地として元気づいてきた仕組みなども伺い、様々な産地の現状から、和装業界の問題点が少し見えてきた気がします。