繊維企業プロデュースの裏にある“優しい”企画

第10講は「繊維企業プロデュースの裏にある“優しい”企画」をテーマに、イワサキケイコキカクの岩崎さんにお越しいただきました。

会場は清澄白河にあるリトルトーキョーの2階をお借りしました。

岡山県に生まれ、京都の美術大を卒業した岩崎さん。

学生時代の出会いがきっかけとなり、京都のテキスタイルメーカー「SOUSOU」に就職。

店頭での販売から製品企画、生産管理まで、約10年の勤務で多様な業務を経験します。その後、岡山へ帰郷。地元で職を探すも前職の社長の後押しもあり、独立をすることに。

2013年にひとり企画会社「イワサキケイコキカク」を立ち上げ、地元の繊維産業を独自の視点でプロデュースする仕事を始められます。

「就職も、独立も、いわば偶然がきっかけ。決してこのような生き方でいこうとずっと準備してきたわけじゃないんです。」と語る岩崎さん。

ミュージアムのユニフォームやノベルティ製作に始まり、徐々にブランドの立ち上げサポートやディレクションにシフト、現在は、3年前に立ち上げた野良着ブランド「SAGYO」の運営を専業としています。

ご自身で「コンプレックスに基づく」と表現する仕事のやり方は、多くの人に求められ、唯一無二の価値を生み出しています。

自分にしかできない仕事を生み出せるのは、ファッションの専門教育を受けたわけではない彼女が、クライアントに対しても、社会に対しても“自分にしかできないこと”を適切に理解し、その強みを活かしているからこそだといえるでしょう。

例えば、広島県にある生地問屋さんとの取り組みでは、最初に会社が抱えている課題を整理するところから始まり、決して無理のない範囲で、生産や流通・販売の方法を一緒に見直していったそう。

結果として売り上げは伸びるのですが、それは工場の人たちが「いつもやっていることの延長」であり、決して大きな痛みを伴う改革でもなければ、外部の人に依存し、単発に終わってしまうプロジェクトでもありません。

自分自身と、関わる産地の人たち。互いをプロとして認識し、どちらにも負担のかからないそんな仕事をつくる上でのバランス感覚こそが、岩崎さんの何よりの魅力なんだと思います。

そんな仕事をつくるという発想を岩崎さんにもたらしたのは、ナリワイ伊藤さんとの出会いでした。

独立直前、岡山にUターンしたばかりの岩崎さんは、偶然来ていた伊藤さんのトークイベントに参加。

「自ら仕事をつくり、人を幸せにしている伊藤さんの生き方に視野が広がった」と当時を振り返って岩崎さんはおっしゃいました。今では、野良着ブランド「SAGYO」を共に立ち上げた仲間として、多くの農作業者にスタイルを提案しています。

服をめぐる、生産方法や流通のあり方、機能や文化的意味。

様々な点で本質を捉えつつも、理想の押し付けによって誰かが無理をしないように配慮する感性。繊維産地と関わり、ブランドをプロデュースしたり、立ち上げるという岩崎さんの仕事からたくさんのことが学べました。

岩崎さん、ありがとうございました!

次は岡山や広島の工場見学をご一緒したいです!

山脇