染工場にて、デザインからシルクスクリーン

第6講は『工場とデザイナーのあるべき関係性』を講義テーマに、奥田染工場・社長の奥田さんに講義をしていただきました。

国内有数の繊維産地として古くから栄えてきた、東京都八王子市。
第二次大戦の空襲で多くが焼けてしまい、また、近年の不況で最盛期ほどの数は無くなってしまいました。
そんな中、プリントの工場としてものづくりを続けてきた奥田染工場。現社長の奥田さんは31歳のとき、先代である父から会社を引き継ぎ、工場を指揮してきました。

講義の冒頭は、繊維の印刷技術の歴史について。

奥田染工場が取り入れる“シルクスクリーンプリント”の特性と、歴史的背景についてわかりやすく解説してくださりました。“絞り染め”から始まり、“インクジェット”まで進化してきた繊維への印刷技術。
ただ、「どの技術が良い悪いの話ではないし、一概に残すべきかどうかの判断はできない。(デザイナーは)しっかりと知識を持ってそれぞれの特性を活かすべきである。」
と奥田さんは語ってくださいました。

中盤からは、「新しいものをつくるために、工場とデザイナーはどういった関係性であるべきなのか」というテーマについての講義。
工場経営者として数多くのデザイナーと仕事をしてきたご経験から、良いものづくりに必要な人間関係のあり方を、たくさん伺うことができました。

「デザイナーにしても工場にしても、何よりも互いを思いやり、自分の仕事に責任と覚悟を持つ必要がある」
「『この人のためなら200%の仕事をしたい。』そう思ってもらえるのかが大切」
など繰り返し強調され、とても熱い講義内容となりました。
こういった、ものづくりにおいて“人”を起点とする考え方は、
「生地=生き物」であり、機械の調子、つくる熱量など、その時々の環境によって二度同じものができないことを知っている、奥田さんだからこそ言えるのだと思います。

人がものづくりを行う以上は、できるものも人と同じで、どれ一つとっても同じ仕上がりなんてありえない。
だからこそ、デザイナーは関わる工場の人を“人”とみなし、仕事に対して理解と尊重をする姿勢を持って初めて、新しいものをつくることができる。
そうやってデザイナーと工場がともに成長し、リスクを取れる人間が増えて、結果的に繊維業界も活気付いていくのだと。

ものをつくるだけでなく、その先において私たちの関わる産業にどんな未来があるのかを、講義を通じて学ぶことができました。

この日は奥田染工場の中にお邪魔し、シルクスクリーンを使用したプリントのワークショップも実施。

事前に受講生が作成したデザインを実際に形にするという「産地の学校」としても新たな試み。
少しでも工場と関わる体験を通じていろんなことを学んで欲しい。それが学校の最大の願いなのです。

山脇