五泉ニットフェスへ

2月9日、東京校4期の数名で、上越新幹線に乗って新潟・五泉の五泉ニットフェスに向かいました。

五泉は、ニットの産地です。
2(に)10(とう)の日=ニットの日に合わせて企画されたイベントで、今年は2月8日〜10日まで開催していました。五泉までは、新潟駅から40分。東京から往復6時間、日帰りで3件の工場へうかがいました。

五泉の一駅手前、北五泉が最寄りの高橋ニットさんが今回の1件目。
駅を出てすぐ、遠くに「高橋ニット」の看板が見えました。

集ったのは、私たちを合わせて30人弱。
社長の高橋さんより繊維産地、五泉の歴史をご説明いただきました。
綺麗な水が豊富な五泉は江戸時代に絹織物を織るところから栄えたそうです。しかし1920年代の大火事や第二次大戦後をへて、徐々に絹織物からニットにシフトしていきます。

現在は、国内一の生産量をほこるも、海外での大量で安価な生産に押され出荷量が減少。

なんとかせねばと五泉ニットのブランド化推進を決意、五泉ニットフェスの開催もその一貫だそうです。

高橋ニットさんは、糸を仕入れてから製品を作り出荷するところまで一貫して行います。
さっそく現場を見せていただきました。

まずはバンドカッター。ニット生地を型紙に合わせてカットしています。
その歴40年という職人さんが数枚ずつ手際よくカットしていきます。

一緒に行ったメンバー曰く、ベトナムでは効率化のためより多くの生地を何枚も重ねて一気にカットしていたそう。その他、延反機や芯貼り機などが同じフロアに置かれていました。

実際に機械が動いて作業されているところを見ると講義の内容も理解が深まります。

また、カシミヤセーターが置いてあり、最終仕上げ加工の前後を触り比べさせていただきました。

加工前は驚くほど手触りがごわごわ。

高橋ニットさんでは、着用による風合いの変化を楽しんでもらうため加工を8割程度に留めるそう。
理由は「もし完璧な状態で手元に届いたら後は劣化していくだけになってしまう」から。やはり加工後のものは、良く知る良質な手触りでした。工場さん、職人さんの思想を強く感じました。

その後、営業や企画の方々が働く部屋も案内いただきました。
新しい生地を開発しては、東京などの展示会で、アパレル・ブランド側に積極的に提案されているそうです。

2件目は、ウメダニットさんへ。
工場内もひときわ清潔感があり、なにより働く方が若くておしゃれなのが印象的でした。

高橋ニットさん同様、五泉の歴史を聞かせていただき工場見学へ。
五泉の約半分の住戸では上水として井戸水を使っているという話には驚きました。

ウメダニットさんでは、編む事はもちろん、縫製やパターンにも力を入れているそうです。

まずコンピュータ制御での裁断工程。
機械的な音と主に自動で型紙データどおりの生地が切り抜かれていきます。

その後パターンCADなども見学させていただきました。

そこから、リンキングや縫製、アイロンがけも順に見て回り、高速丸編み機も案内いただきました。

丸編みの講義で、機械の外観とスロー動画でインプットはしていましたが実物を見るのはもちろん初めて。
メンバーのテンションが上がります。

名前の通り高速で上下するベラ針が規則正しくニットを編んでいく・・・のは、早すぎてよく見えませんでしたが、下で回転しながらニットが巻き取られるのを見て、今までより少し原理が理解できたような気がしました。

つづいて広い敷地内で建物を移動、コンピュータでニットデザインを行っているスペースへ。
高性能ソフトを使いパソコン上で色や編み地を入力すると自動で思い通りのニットが編まれるそうです。

この島精機のソフトは、編み柄が作られていく様だけでなく実際のかぎ針の動きまでもシミュレートできます。

使いこなすのにはセンスが求められるそうです。
私たちからの様々な質問に、現場の方々が丁寧に答えていただきました。

OEMの受注生産だけでなく、自社ブランドや大手セレクトとのタイアップなど、積極的に商品開発をされています。

本日最後の工場めぐり、川島さんへ。
ホールガーメントでの生産が、約三分の一を占めるそうです。

会社のことをご説明いただき、ニットのジャガード柄作りを体験させていただきました。

ペンタブレットと専用のトラックボールをつかって、絵を描いていきます。
自動編み機との相性のため、描画データのやりとりがフロッピーで驚きました。

柄作りの体験後は工場見学へ。1階には大量の自動横編み機が並びます。

工場の一番奥に案内され最新型のホールガーメント機を見せていただきました。1台あたりなんと1,800万円!

島精機の技術を集結した旗艦機は、スプリング式可動型シンカーで、より複雑な編みが可能だそうです。

生産性も高く縫製も必要のない夢のような技術だと思っていましたが、制限もあります。ホールガーメントでの生産は糸の選択やテンションの設定が難しく、事前の念入りな調整が必須です。
その調整をしっかり行うため、発注元と必ず顔を合わせて打ち合わせするそうです。

ホールガーメント機含め、大量の自動編み機は年末年始を除き24時間体制で動かしているそう。

2階に上がるとパターン作成や生地のカット、リンキングなどを行うスペースになっていました。

ジャガード柄作り体験や、リンキング体験など、とても有り難い嬉しいものの「生産がピークなので、そちらも気になります」とホンネも。お忙しい中、見学を受け入れて下さり本当に有り難いと感じました。

さらに奥に進むと、ビニールでパッケージングされた出荷前の製品がキレイに段ボール詰めされています。横には針がパッケージ内に混入していないかチェックする検針器がありました。

こうして安心・安全な五泉ニットが生まれているのか、と感じる事ができました。

今回、短い時間ではあるものの五泉に行って一番強く感じたのは、各工場とも企画から生産、そして出荷までくまなく創意工夫をされている、ということでした。その工夫の内容も工場ごとに特色があります。

また、産地で団結し課題を共有しているからこそニットフェスが開催されるなど、産地のチームワークを感じました。

ニットフェスに参加している工場の入り口には共通の旗が立っていて、これもニットで作られているという遊び心にも、楽しませていただきました!

見学させていただいた皆さま、貴重な機会をありがとうございました。