信頼からうまれる

コートが手放せなくなってきた11月のはじめ。
産地の学校ラボコースでお世話になっている、オフィスハマの濱さんの講義がおこなわれました。

濱さんは、これまで30年以上テキスタイル業界の様々な立場でご活躍され、現在は数社の機屋やメリヤス工場と業務契約を結び、コンバーターとしてさまざまなアパレルとテキスタイルを企画開発されています。

濱さんには半年前にもラボにて講義をおこなっていただいており、今回は「半年間にあった現場のいろいろ」というテーマでお話いただきました。

講義の前半では、濱さんご自身のお仕事に対する考えや取り組み方のお話を伺いました。

実は、半年前の講義の後から、ラボ生ひとりが濱さんの仕事を何度か見学していました。
ラボ生が見学を通して強く感じたのは、取引先から濱さんへの「信頼」。
コンバーターとしての主な取引先はアパレルと機屋。
そのどちらからもの厚い信頼を、ラボ生は会話や濱さんのお仕事に対する姿勢から感じたそうです。

産地の情勢を聞く中で、若手を雇用し活性化に努める工場もあるものの多くの機屋は、扱いにくい糸を使用することや、あまり取り組んだことが無い企画に対して、リスクを負って挑戦できなくなっているというお話が出ました。
そこには人員不足や高齢化、継承問題など、工場で働く方のモチベーションも関わっています。

その一方で、アパレル側から求められるのは、「日本にしかできない高い技術や日本に古くからある技術」。

この差を埋めることができるのが、両社の間にいるコンバーター・濱さんのセンス。そして様々な立場からのものづくりを考慮し提案する濱さんへの、機屋からの厚い信頼だと感じました。

講義の後半では、濱さんがこの半年で取り組まれた生地のサンプルを見させていただきながら、より生地企画の専門的な話題に。
30種類ほどの生地を触りながら、素材・糸の番手・織機・産地の話などを伺っていきました。

機屋・アパレル両方の背景をききながら、貴重な生地を沢山触ることができる機会です。
もちろんラボメンバーの手はまったく止まりません。
素材にこだわる有名なブランドの話も出てきて、生地から製品になる姿まで思い浮かび、より興味深くなります。

今回の講義を聞きながら、ひとつひとつの生地にストーリーがあり、「服」をはじめとする「製品」という形で私たちの手元へ届いていることを改めて考えさせられました。
濱さんが国内のさまざまな産地にある機屋と一緒につくった生地が、製品となり今日もお店から誰かの元へ届いていると思うとワクワクします。

濱さん、貴重な講義をありがとうございました!

末安

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