職人技術とテクノロジーとでの製品加工

東京は茗荷谷にて、製品染めの分野を中心に日々、日本のファッション業界を支えている内田染工場さんにお邪魔し、代表の内田光治さんにお話を伺いました。

内田染工場さんは、戦前は群馬県桐生市にて呉服屋を営まれており、その後戦時中は靴下製造業なども経て、現在の製品染めの分野に至ります。

今回は、「高品質・高付加価値で日本のモノヅクリを未来へ!」というテーマ。
伝統的技術を持ち合わせた職人さんと現代の進化的な未来をつくるテクノロジーが融合する、日本の中心東京の染工場ならではのお話を聞かせていただきました。

まずは内田染工所さんが得意としている製品染めについて、メリットとデメリットを教えてくださいました。
製品染めはオーバーダイにより在庫再生を可能にします。また、ダメージを与えてしまうデメリットさえも創意工夫で表現の一部となることに技術力を感じました。

そして素材に応じた染料の種類や、デザインの選択肢が広がる数多くの染色方法をひとつひとつ丁寧に教わりました。中には、事前のテストをしっかりと行う必要が生じる場合もあり、コストは上がるもののそういった追求によりオーダーに合った質を提供されているのです。
また内田染工場さんで揃えたバリエーション豊かなサンプルを見せていただけることで、そこから選んでインスピレーションを得ることができます。

内田染工場さんでは、スポーツ選手やアーティストの衣装制作にも携わったりと、東京の工場ならではの取り組みも多くみられました。

ひとつの新たな取り組みとして、東京の染工場が集まり染めのテクニックにフォーカスしたオリジナルブランド「some-zome」を立ち上げ東京ソラマチにて毎年展示イベントを行ったりもしています。
そこでは学生へ向けデザインコンペを開催し、次の世代の人へ技術を繋げる礎づくりもされています。

未来への展望としては、ボタニカルダイに着目し日々研究されています。
植物から抽出した天然染料と化学の力を合わせて表現される自然の持つ色は、ストーリー性を持ち合わせておりそれがまたひとつの商品価値となる。
現状にとどまることなく多方面に視野を広げ、染めと向き合っている姿がみられました。

パワーポイントと合わせて映像でも分かりやすく、実際の機械が動いている様子やビーカー染め、板締めの作業風景なども見せていただいた後は、工場見学へ。

とっても綺麗!というのが第一印象。汚染を防ぐため当たり前のことではあるとはいえ、毎日の清掃のルーティーンが当たり前に丁寧に行われている環境の良さが垣間見えました。

そして内田染工場さんでは、機械が色を読み取り再現するコンピューターカラーマッチングシステムという最新の技術も導入し、手作業が多い染め作業の中でもできるところは合理化され、精度の高まりと効率化を図られています。そういった技術が集結したテクノロジールームと、昔ながらの作業場が噛み合った現場はとても興味深かったです。

内田さんが生まれたころからある機械なども並び、実際の染色機を前に丁寧に説明もしてくださり、受講生の皆さんもまじまじと覗き込むように興味津々にお話を伺いました。

内田染工場さんには、染色機を製造できる技術者の方もいらっしゃるそうで、機械のメンテナンスがクイックにできます。さらに、スワッチ用の小さな染色機を独自で持ち合わせていたりと驚かされるお話もたくさんありました。

作業場のある1階から、乾燥室や出荷場所のある2階までぐるりと回って見学をさせていただいた後は、工場で働く職人さんやリクルートのお話から、染色を依頼する際の発注方法、ロットやコストについてなど、生徒の皆さんからの質問に答えていただきました。

お話を伺った部屋にもいくつものサンプルがハンガーラックにかかって並んでいて、皆さん講義の後もそこからなかなか離れることができませんでした。

アパレル業界のニーズにあったスピードを持ち合わせた高い技術力に加え、今後の発展へも意欲的な意識が向けられたお話に、日本の中心にある染工場だからこその染色業界の進化をみせていただきました。

仕事に喜びを見出しておられる内田さんの笑顔が印象的な回でした。
内田さん、この度はお忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

安岡