すべては“素材”を知ることから

今回は、京都よりtezomeyaの青木さんにお越しいただき、織りや染めといった学びの前にまずは繊維!ということで、当たり前のように使っていた「繊維」というものの概念を、植物繊維にはじまり動物繊維、化学繊維、と生物学的な視点を交えながらも分かりやすく説明していただきました。

青木さんはワコールにて10年ほどMDを務められ、草木染めの工房さんと知り合ったことで現在はご自身も草木染めによるブランドtezomeyaを運営されています。京都に自社の染色工房を構えられ、糸選びからオリジナルで生機を製作、そこから生まれたアイテムはひとつずつ丁寧に染められたこだわりのもの。
今回はそうした経験から得た、素材と染色に関する膨大な知識を私達に惜しみなくレクチャーしてくださいました。大学にて素材論を持たれていたほどで、講義はリズミカルなテンポで途切れる間もなく、大変興味深いお話を楽しく吸収することができました。

“素材について知らないことが多い。
知っているから良い服づくりができるかと言えば定かではないが
しかし知らずに良い服づくりをすることは不可能。”

頭の中で素材をイメージとして把握できることで、特質の違いにあった対応ができ、それがテキスタイルの味わいに変わり、製品の良さに繋がっていく。
雰囲気だけでも良いからと、知識を掴むことの必要性を説かれました。
青木さんも一生勉強とおっしゃっており、自分たちの学びもこれからだと感じました。

素材のお話では、綿花や宮古上布の原料で現地ではブーと呼ばれる苧麻の繊維が手績みされた段階のものなど、お持ちいただいた現物も見学しました。あわせて図解や動画も用いて繊維の構造から主成分の解説まで、ポイントを押さえてお話してくださったことで、染色のお話の際に素材の特性と染色技法をスムーズに結びつけることができました。
そして染色史までも概括的に教えてくださり、これからの講義に臨むための土台づくりができたように思います。

学問的なお話の後には自社商品について。

青木さんが草木染めで一番の魅力に感じ大切にしていること、それは色。

天然染料ならではの絶妙な色は、万単位の種類がある細胞の分子が生み出す複雑なものです。化学染料でいくら再現しようと決して同じ色はつくれない、その偶然性の魅力を存分に引き出すために染色技術はもちろん、素材研究に尽力されています。

化学物質は環境に悪く、天然物質は環境にやさしいというイメージがどことなく世の中には存在しています。しかし草木染め工房を営みながらも、環境的アプローチはあえてしていない青木さん。

環境問題に関しては、ある意見に対して、それは絶対ではないこと・基本的にひとつの思想だと思うことが必要であるとおっしゃっていました。

確かに、どの立場から考えるか、ヒトの立場・サカナの立場… 見方が変わればその問題の置かれた状況も変わることに気づかされました。何を大切に思い何を軸に考えてものづくりを進めていくかも、今後作り手として念頭においておかなければならないことであると感じました。

青木さんは講義の最初に、オーディエンスがこの講義で得た何かを、後に調べる行動に移す、そのインパクトを与えることが目的とおっしゃっていただけに、本当に興味が湧くお話の数々で、実際に、ウォーレス・カロザースにまつわる悲しいお話や、ナイロンザイル事件など、思わず気になって調べたものがたくさんあります。

短い時間の中にてんこ盛りの情報量で、より詳しくお話を伺いたくて仕方なく、講義が終わった後もまだまだ話に花が咲いているようでした。

青木さんのブログ「tezomeya note」は、学びの宝庫のようです。

青木さん、この度はお忙しい中貴重なお時間をありがとうございました!

 

安岡