アルクロワークス流、熱血授業vol.1

ラボでは、月に1回、業界でご活躍される様々な方をお招きし、講義をおこなっていただいています。

今回は、丸編み一筋15年、OEM業としてご活躍される山本さんをお招きしました。
山本さんの15年は、和歌山県の工場の営業からはじまり、現在は独立されてカットソーのOEMをされています。
和歌山の産地、基本的な組織や機械の仕組み、発注する際に心掛けたいこと、生地や製品をつくる時のお金の話など現場のリアルな部分を教えていただきました。

丸編みは、ニット・タック・ミス(ウエルト)という3パターンの針の動きの組み合わせから編組織がつくりだされています。また、片面にのみ編み目のでるシングル編み、両面に編み目のでるダブル編みにより、つくれる編地が異なります。

一言に「カットソー」と言われると、とても馴染みがある様に感じますが、生地の種類はとても多くあります。

実際のサンプルの生地と共に説明していただきました。
生地や図などを用いて基本的なところはとてもわかりやすく説明いただきましたが、細かい編み目のものはじっと見ても、シングル編みかダブル編みなのかが、なかなか分かりません。

ただ、山本さんいわく「発注側の人は、全部はわからなくてもいい。」とのこと。
発注側に知識とつくる側への理解があることはもちろん大切ですが、何より自分がつくりたいとイメージするものを出来る限り正確に伝えることも大切です。そして、「わからない。」と正直に言えることも強みになります。

イメージを正確に伝えるためには、とにかく多くの生地を見ることが欠かせません。山本さんご自身も、展示会などへ足を運んだ際に生地をとにかく見すぎてしまうそうです。
様々な生地を見ていく中で、感覚と蓄えていた知識が合致し、初めて本当の理解に繋がるのかなと感じました。

山本さんの「知識が完璧でない段階の感覚で、圧倒的に自分がいいと思う生地を見つけることが大切。」という言葉も印象的でした。生地に対してより興味がでることで、さらに知識も深まっていきます。

OEM業、アパレル・工場の間をつなぐ中間業ならではの現場のお話もうかがいました。
隠し事の無いリアルなお話に、受講生からは「大変だ・・・。」という声も。

現在、アパレル業界では「中抜き」と呼ばれる中間業者をスキップする動きが多く見られています。
具体的には工場から直接消費者へ販売することや、デザイナーがOEM会社などを通さず直接工場と共に生産することなどです。

「そんな業界の動きをどう考えていますか。」と受講生から率直な質問が飛びました。

なかなか聞くことができないような質問にも真っ直ぐに答えて下さり、山本さんの考え方やものづくりへの姿勢と過程が、山本さんがつくられている生地に表れているのだと感じました。

山本さん、貴重なお時間とお話をありがとうございました!

末安

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