2期最終講で学ぶ、織物の深さ

産地の学校第2期スタディコース最後の講義となる今回は、
文化・ファッションテキスタイル研究所にお邪魔し、所長の宮本英治さんからお話を伺いました。

産地の学校は文化・ファッションテキスタイル研究所の協力のもと
テキスタイルのアーカイブや織物工程を勉強させていただいています。

宮本さんが所長を務める文化・ファッションテキスタイル研究所は、その前身である「みやしん株式会社」の頃から文化服装学院と文化女子大学(現:文化学園大学)の授業での工場見学やインターンシップ、装苑賞受賞者のテキスタイル創りを支援するなどしていました。“みやしん”は、80年代のパリコレでイッセイミヤケが世界に注目されるきっかけとなった、麻の二重織「ウィンターリネン」の生みの親であり、その後も世界で活躍するファッションデザイナーを織元として支えてきました。

そして現在の文化・ファッションテキスタイル研究所は、文化学園関連の学生への見学・講義、学生オリジナルテキスタイル制作、文化学園出身デザイナーとの研究協力、産地業者への指導等を行っています。

今回の講義では、近年開発された貴重な素材を実際に手に取ってみせていただくことができ、さらに研究所が数多く保有している歴史あるアナログデータの一部をスクリーンに映しながら研究所の布創りについて教えていただきました。

三原組織にはじまり、多重織など織の基礎から応用までを細かく丁寧にお話してくださりました。また、染めについての伝統的な技術を昔の資料から研究し、現代の新たな技術と組み合わせて再現したものも見せていただきました。直接手に取って見たもの全てに目を奪われ、改めて技術力の高さ、テキスタイル開発の幅広さを感じました。

宮本さんは“過去の技術者の技の積み重ねに加え、基礎知識だけでは生まれない新しい展開を常に追求していくことが日本の技術の素晴らしさに繋がっている。テキスタイル開発には、想像力を磨き自らの発想を具現化すること、発想の柔軟性、これらをもって独自性を生み出す事ができる。”と仰っていました。

テキスタイル開発への理解を深めた後、講義室のすぐ横の扉を開ける宮本さん。そこには研究所に引き継がれた“みやしん”の繊維機械がずらりと並んでいて、今までの講義室とは雰囲気が打って変わり、とてもリアルな現場の空気が印象的でした。研究員の宮本英紀さんの案内による見学では糸繰り機やいくつかの織機を実際に動かしながら見せていただき、私たちの質問にも丁寧に答えてくださりました。特に、アレンジワインダーという糸と糸を繋ぐ機械は、太さや素材の違うもの同士を繋ぐことが可能になれば、織りの幅が広がる将来性のある機械とのことで、非常に興味深かったです。とても貴重な経験になりました。

伝統からの革新を唱え、技術や知識を包み隠さず伝えている宮本さんの姿は、繊維業界を担うこれからの世代である私たちへのエールのように感じました。

講義を聴く中で、ものづくりに関わる者が基礎知識を身につけることがいかに大切かを学びました。そこからの発想の転換により、オリジナリティーを製品にダイレクトに落とし込みやすくなる、それが繊維産業の発展に繋がる。これは宮本さんやその他の講師の方々が共通してお話されていたことでした。
産地の学校を通し、現場の声を聞ける環境に身を置けた事は今後の活動に深みをもたらし、これからの道を見出す多くのきっかけとなりました。

宮本さん、この度はお忙しい中貴重なお時間をありがとうございました。

安岡